«前の日記(2004-09-30) 最新 次の日記(2004-10-15)» 編集

Beingにっき

2004|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2005|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2006|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2007|01|

2004-10-08 [長年日記]

第10回 ZIPC ユーザーズ・カンファレンス

10/8 に "第10回 ZIPC ユーザーズ・カンファレンス" が新横浜プリンスホテルで行われた。最初に、キャッツ社長 上島康男氏により、今後も手法と支援ツールを使いこなすツールベンダーの立場からソリューションを提供していきたいという挨拶でカンファレンスで始まった。

続いて「ソフトウェア工学に関する最新動向」と題して、独立行政法人 情報処理推進機構 SEC(ソフトウェア・エンジニアリング・センター)所長 鶴保征城氏による基調講演が行われた。

SEC のミッションは、産官学の連携を通じて「ソフトウェアのものづくり」として高品質なソフトウェアを効率よく開発する手法の開発・普及、標準化及びソフトウェア開発の実践として、2004年10月1日に発足、発足当初のメンバーとしては IPA のメンバー 30名、タスクフォースメンバー約 120名の計 150名である。タスクフォースメンバーの中では組込み系が 70名、エンタプライズ系 50名だそうだ。

今後、ソフトウェア産業の重要性が高まる中、日本のソフトウェア産業の構造はいまだに人月単価である為、低単価のアジア企業に移っていき、ソフト産業の空洞化の恐れがあると説明。また、ソフトウェアの規模、複雑さが増し、プロジェクトの失敗、納期遅延、予算超過、ソフトウェアの不具合によるトラブルなど品質の低下傾向にあると述べた。つまり、開発の生産性がニーズにマッチしていない、米国のように産学の知的リソースが米国、中国、インドに比べて日本は IT 業界にいるにも関わらず IT 教育を受けた割合が低いことも指摘していた。

そこで、SEC としては、政府、産業界(ソフトウェアベンダー)、学界(大学・国研,

海外研究機関)の連携拠点としてソフトウェア分野の競争力の向上を目指すと説明していた。まず、三ヵ年計画として

  • エンタプライズ系ソフトウェア開発力の強化
  • 組込みソフトウェア開発力の強化
  • 先進ソフトウェア開発

の各プロジェクトの活動計画があることを述べた。そして、その組織や関連組織などを説明し講演を終えた。

次に事例発表として「ZIPC を用いた家電組込みソフトウェア開発の効率化」と題して、九州日立マクセル 安部田章氏による発表が行われた。

家電製品の短納期化かつ高信頼性から数年前からオブジェクト指向の開発を導入し、CBD フレームワークによるプログラム作成をしている。更にハードウェア制御用のコンポーネントの再利用や階層化アプリケーション層への状態遷移フレームワークを構築と管理で効率化を行っているという紹介がされた。

次に「多機種短納期開発への ZIPC 適用の有効性」と題して、富士写真フィルム 中村円美氏による講演が行われた。DSC の商品の多機能化や高機能化に伴ってソフトウェアの増大や複雑化している。けれども商品化のライフサイクルが短く、開発期間も短くなっており並行開発が余儀なくされる。その為、開発の効率化や開発力の強化が必要となってきた。

まず、テストプロジェクトを立ち上げ、そこで設計ドキュメントの共通化を評価目標にし、プロジェクトを成功させ、商品開発へ適用した事例の報告がされた。

ソフトウェアの全階層に ZIPC を適用する方針を取り、適用した全タスクの自動生成、状態遷移表は出来る限り日本語で記述する、生成コードにリバース情報を付加するなどを行い、結果的に設計作業の改善、再利用性の向上、デバック効率の向上などの成果があった。また、ZIPC のカスタマイズの依頼にはのポイントを絞った方が良いとのことなどの説明があった。

次に「ZIPC を利用した TOPPERS 教材とワークショップの紹介」と題して、TOPPERS プロジェクト 穴田啓樹氏による発表が行われた。まず、TOPPERS プロジェクトについて、ZIPC と TOPPERS/JSP Kernel を利用した教材、ZIPC ワークショップ、今後の活動についてなどが説明され。特に、ワークショップの流れとして

  • 意識付け
  • 事前準備
  • 開発体験
  • 意味付け

などユニークなアプローチには唸ってしまう。

次に「開発現場での Drawrial 導入と、海外リソース活用による操作仕様書作成」と題して、日本電気通信システム 中間美代子氏による発表が行われた。

従来、多機能化や多様なユーザー使用に対応する為に海外携帯端末のソフトウェア開発のコスト削減が求められている。そこで、操作仕様書に "Drawrial の採用" と海外リソースの活用をすることになった。Drawrial は、全操作を一括作成出来ることや画面などを表現する従来のワープロソフトや作図ソフトが必要なくなった。更に、操作仕様書は最初から英語で作成することにより海外リソースに活用出来るようになった事例であった。こういった画面を扱う GUI 作成には Drawrial は有効なツールであるようだ。

次に、「UML から SystemC へのモデリング(DMAコントローラ)の事例」と題して、リコー 宮原忠義氏と難波睦氏の発表が行われた。両氏は、UML for SoC フォーラムで近い将来 ASIC 開発に UML や SystemC の必要性を感じ、UML 拡張プロファイルを実証してくれる企業として、既に社内WG で UML 化していた DMA コントローラをモチーフに要求仕様、開発プロセス、各工程などをモデル化していく一例を示した。今後は、UML から高位合成までを自動生成ツールの出現を期待したいと述べた。

最後に「CATS ロードマップ」を キャッツ副社長 渡辺政彦氏が発表した。まず、キャッツの歴史、提供するサービスなどの説明があった。キャッツの製品コンセプトは、情報異化型・進化的連結(シリコンバレー・モデル/モジュール・クラスター)で、"IBM/360型" でも "トヨタ型" でも違うことを説明した。また、開発手法とツールの関係などを述べ最後に各製品のロードマップを述べ、今後も ZIPC のユーザ数が増えていることを強調し全てのカンファレンス・プログラムが終了した。

全てを自社のアプリで賄うのではなく、上手に他社のツールも使いながらツールチェーンの隙間をソリューションとして提供していくビジネス・モデルもありかなと思う。

[]

2004|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2005|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2006|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2007|01|